事例1「はずれた眼鏡のレンズ」



【シチュエーション】

午後3時。あなたは、午後5時締め切りの仕事を抱えています。変更が必要な長い手順書を大急ぎで見直し、5時までに上司に提出しなければなりません。そんなとき、また眼鏡のレンズが外れてしまいました。いったいどうしますか?

【指摘事項(問題点)】

ここ数週間のうちに眼鏡が何度も壊れ、業務に支障をきたしている。


速やかに問題を解決する必要性を痛感したあなたは、是正処置を実施して順調に一日を過ごせるよう、また同じ問題が再発しないよう、問題解決法として根本原因分析のアプローチを採用することに決めました。

事例1に対する悪い根本分析の例

指摘事項(問題点)

ここ数週間のうちに眼鏡が何度も壊れ、業務に支障をきたしている。

修正

透明なテープでレンズをフレームに貼り付ける。

根本原因

何度も壊れる眼鏡が根本原因である。おかげで期限に遅れてばかりいる。

是正処置

眼鏡が壊れるたびに透明テープでフレームに貼り付ける。また、上司に期限を延期してもらうよう頼む。

考察

どうしてこれが”悪い例”か考察してみましょう。 >> [Click]

上記のお粗末な根本原因の例では、真の根本原因を特定し適切な是正処置を決定するのを阻む、典型的なミスを強調しています。
この例では、問題点の”症状”をそのまま記述して根本原因としており、システム上の真の問題点を特定していません。さらに、是正処置として記述されている行為も”修正”に過ぎず、再発を防ぐものになっていません。指摘事項と同じことを根本原因として記述しており、システムに対してなんら意味のある分析をしていないのです。


事例1に対する良い根本分析の例

指摘事項(問題点)

ここ数週間のうちに眼鏡が何度も壊れ、業務に支障をきたしている。

修正

透明なテープでレンズをフレームに貼り付ける。

根本原因

分析に用いた手法→「なぜなぜ(5-WHY)分析」

”なぜ”その1:どうしてレンズが眼鏡からはずれ続けるのか?

→いつもケースに入れず机の引き出しの中にしまっているため、引き出しを開け閉めしているうちにほかの物とぶつかってフレームがゆるんだ。

”なぜ”その2:どうしてケースに入れないのか?

→ケースを紛失したため。

”なぜ”その3:なぜケースを紛失したのか?

→机の上が散らかっているから。

是正処置

新しい眼鏡ケースを購入する。また、机の上や引き出しを整理して、眼鏡がほかの物につぶされないようにする。眼鏡を使用しないときはケースに入れて、整理された引き出しの中にしまう。

考察

どうしてこれが”良い例”か考察してみましょう。 >> [Click]

上記の例では、真の根本原因が特定できており、適切な是正処置を決定しています。
根本原因は、システム上の真の問題点に対応するものです。是正処置として記述している行為も”修正”にとどまらず、再発を防ぐものになっています。この例では「なぜなぜ(5-WHY)分析」を用いていまするが、これは根本原因を特定する上で有効なツールの1つです。