- コラム
事例3「QMS:いつでもみんな大忙し」
【シチュエーション】
某建設土木会社の審査において、組織の目標である「工事成績評定点:80点以上」が社員に周知されていることが確認できました。
施工完了後の「工事成績評定点」を確認したところ、70点という結果になっていました。
この理由を現場代理人に質問すると、「評定点は評価側の主観で変化するので、これ以上できることはありません」という答えが返ってきました。
【指摘事項(問題点)】
パフォーマンス評価の対象である工事成績評定点を分析していなかった。
速やかに問題を解決する必要性を痛感したあなたは、是正処置を実施して同じ問題が再発しないよう、問題解決法として根本原因分析のアプローチを採用することに決めました。
事例3に対する悪い根本分析の例
指摘事項(問題点)
パフォーマンス評価の対象である工事成績評定点を分析していなかった。
修正
工事部門会議で工事成績評定結果の分析を行い、今後、改善すべき点を見つけ出し、工事部門の要員に周知した。
根本原因
多忙のため。
是正処置
今後は忘れずに評価内容を分析する。
考察
どうしてこれが”悪い例”か考察してみましょう。
みなさんも日々お忙しく業務に取り組んでおられることでしょう。今回のように、多忙を理由とすると、暇になるまで業務改善や改革に対応できないことになり、組織の目標達成に寄与できず、結果として組織の弱体化につながる恐れもあります。
さらに、是正処置として記述されている行為も単に“頑張ります”と宣言したに過ぎず、再発を防ぐ是正処置となっていません。
事例3に対する良い根本分析の例
指摘事項(問題点)
パフォーマンス評価の対象である工事成績評定点を分析していなかった。
修正
工程会議で工事成績評定結果の分析を行い、今後、改善すべき点を見つけ出し、工事部門の要員に周知した。
根本原因
分析に用いた手法→工程会議
パフォーマンスの有効性を評価する仕組みに問題があったため。
是正処置
評定結果を受領した後に行う「工程会議」のインプット事項として、会議出席者全員で討議・分析し、決定した改善内容を工程会議議事録に保持し、その実施状況と成果を評価することを決定し、今月の工程会議から実行に移すこととした。
考察
どうしてこれが”良い例”か考察してみましょう。
上記の例では仕組み上の問題を特定しています。
是正処置として記述されている行為も、パフォーマンス指標の結果を分析する方法を決めるとともに、評価の時期と記録の残し方にも言及しています。
事例から学ぶ:修正と是正処置
- 事例1「はずれた眼鏡のレンズ」
- 事例2「ハンバーガーの攻撃、再び!」
- 事例3「QMS:いつもみんな大忙し」
- 事例4「EMS:忘れん坊の排水処理」