第6回:エヌ・エス・エス株式会社(新潟県)
ISO9001/ISO14001認証取得/認証範囲:スピンドル、コレットチャック、ゲージなどの工作機械用金属部品の製造

ソーラーセル(太陽光発電)のほか、壁面緑化などで環境負荷を低減。新工場では業界に先駆け、全照明のLED化を実現している。
【参加者】 |
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代表取締役社長 中町 剛 (なかまち つよし) 氏 専務取締役 中町 圭介 (なかまち けいすけ) 氏 |
※当記事はPJR発行のニュースレター「WORLD STANDARDS Review」に掲載された「認証組織インタビュー」を再編集したものです。内容、写真、参加者の役職などはインタビュー当時のものです。(インタビュー実施日:2013年4月9日)

1884年に創業されたエヌ・エス・エス株式会社は現在、工作機械などの心臓部である「スピンドル(回転軸)」を製造。その超精密加工技術は大手上場企業や研究機関をはじめ、世界中から高い評価を受けている。同社は2008年にISO9001とISO14001を同時に認証取得。両規格を統合して運用することで相乗効果を生み出し、日々の改善活動につなげると共に、有効な経営ツールとして活用している。今回は代表取締役の中町 剛 社長とISO認証取得の陣頭指揮をとった中町 圭介専務取締役にお話を伺った。
ISO9001と14001を同時取得し、万全の経営体制を確立
-- 導入段階からISO9001、ISO 14001を統合認証取得される企業様はまだまだ少ないと思うのですが、同時取得を考えた背景を教えてください。

中町 剛 代表取締役社長
中町(圭):ISOの取得にあたっては、まず14001をとりたいというのが基盤にあり、一方で「モノづくりの会社なんだからISO9001も必要だろう」ということで、同時取得を考えました。この地域も住民が増え、ショッピングセンターが建つようになり、環境面での周辺整備というのは無視できない状況になってきたんですね。
-- 認証取得にあたって、一番苦労された点は?

中町 圭介 専務取締役
-- 実際にはどのような体制でISO認証取得のためのプロジェクトを進められたのですか?
中町(圭):私を含め、中堅社員9名でISOの推進会議というのをつくりまして、まずは「ISOとは何か?」ということを学びはじめました。当初は月に2〜3回、コンサルタントの方に来ていただき、講義を聴きながら理解を深めていきましたね。
-- 導入に際して、従業員のみなさまの反応はいかがでしたか。
中町(圭):2006年6月にキックオフを行ったのですが、比較的すんなり受け入れてくれたと思います。というのも、1998年くらいに5S活動をはじめて、当初はそれに対する疑問の声などもあったのですが、実際に運用してみると生産性は上がるし、会社はキレイになるし、自分たちの仕事も楽になるので、いいじゃないか、と。そういう成功体験を多くの従業員がもっていたので、ISOをやれば会社がもっとよくなるんじゃないか、という期待感がありました。
月に1度の月次報告会で、経営層と従業員との間の目線あわせもスムーズに。
-- ISOを運用してみて、効果はいかがですか。
中町(圭):当社では今、月に1回、月次報告会というのをやっていまして。各部門が設定した年度目標に対して、毎月1回、方針の予実管理を行っています。そこで「ここはちょっと方向性が違ってきたな」ということに関しては、きちんとチェックを入れて、PDCAサイクルをまわす形をとっているんです。
-- 月次報告会に経営層の方も参加されているというのは、大変意義のあることですね。このような形をとると経営層の声がダイレクトに届きますし、報告する側もその時点での状況をタイムリーに伝えることができますから。他部門の様子も全部見られますので、これはよい取組みだと思います。
ISOの仕組みを、リスクマネジメントとして積極的に活用

技術力の高さにより半年先まで受注が入っている同社。積極的に設備投資を行い、デリバリー(納期)のさらなる短縮を目指す。
-- サプライチェーンの観点から考えると、例えば製品の納入を延ばさなければならない状況になった場合、取引先の生産ラインが止まってしまうというリスクにもなりますから、非常に重要な視点だと思います。近年は震災の影響もあり、BCP(事業継続計画)やBCM(事業継続マネジメント)などの必要性が叫ばれていますし、今後ますます社会的に求められてくる考え方といえるでしょうね。
中町(圭):当社はモノづくりの会社ですが、図面通りにモノをつくるだけではなく、積極的に提案活動を行っていきたいと思っています。不良品をつくらないというのはもちろん大切ですが、それだけでは積極的な省エネとはいえないですよね。どうしたらコストを削減できるのか、製造スピードを短縮できるのか、あるいは耐用年数の長い製品を供給できるのか。こういうことを検討することが、本質的な省エネにつながると考えています。
-- そうですね、LEDなどもワット数が少ないというだけではなくて、長寿命というのも謳い文句のひとつですから。それでは最後に、当社の審査を受けてみての感想はいかがでしょうか。
中町 社長:本当に当社のことを理解していただいて、そのうえでの審査でしたので、大変満足しています。
中町(圭):前回のサーベイランス審査でも、非常に役に立つ指摘をしていただきました。私たちはただ登録証がほしくてISOを取得しているわけではないので。やはり改善に結びつく審査でなければ意味がないと思いますので、その点はちょうどよいバランスでやっていただいているという印象です。
中町(圭):前回のサーベイランス審査でも、非常に役に立つ指摘をしていただきました。私たちはただ登録証がほしくてISOを取得しているわけではないので。やはり改善に結びつく審査でなければ意味がないと思いますので、その点はちょうどよいバランスでやっていただいているという印象です。
-- ありがとうございます。今後もマネジメントシステムの内部監査や審査がさらなる改善に結びつき、エヌ・エス・エス様の継続的な成長につながっていくことをお祈り申し上げます。
【取材を終えて】
創業の地である新潟にしっかりとねざし、今年創業130年目を迎えるエヌ・エス・エス様は、歴史に胡坐をかくことなく積極的に新しい技術に取り組み、中町社長様の陣頭指揮のもと順調に成長されていらっしゃいます。
特に月次報告会などマネジメントシステムを会社の運営ツールとして有効に活用され、それが実際の業務の改善などに繋がっているとの事で、認証機関の目から見てもMSが高いレベルで運用されている事が確認されました。