第1回:中村化成工業株式会社(群馬県太田市)
ISO9001:2000認証取得/プラスチックリサイクル業
代表取締役 マーク・ボーラ 氏

【マーク・ボーラ氏略歴】 | |
---|---|
1991年 | ジョージワシントン大学(米国ワシントンDC) 中国語・中国文学学科 卒業 |
1993年 | エール大学大学院(米国コネチカット州) 東洋言語・文学学科 修士号 |
1994年 | エール大学大学院(米国コネチカット州) 東洋言語・文学学科 博士後期課程修了 |
1996年 | 来日 |
1998年 | 成蹊大学大学院 日本文学学科 修士号 |
2000年 | 中村化成工業(株)入社 |
2001年 | 専務取締役就任 |
2005年 | 代表取締役就任 |


ISO9001の認証取得を目指した当時について、マーク・ボーラ社長にお話しを伺った。
-- ISOを導入しようと思ったきっかけについて教えてください。
当時は社員も少なく、マネジメントシステムがなくても何とか間に合っていました。しかし仕事が拡大し、人が増える中で、システムがないと業務が回らなくなってきました。そこで客観的な外部からの審査を受けてシステムを構築したいと考えるようになったんです。
-- ISOは以前からご存知でしたか?
ISOについてはアメリカで両親の会社や、知り合いの会社、以前勤めていた会社が取得していたのでよく知っていました。また、輸入材の取引の際には、取引先からISOの登録証をコピーして送ってほしいといった要請もあり、品質を保証するという、商売をやる上での免許みたいなものと考えていました。
-- 認証機関はどのように選びましたか?
当時はまだ社長ではなかったんですが、幹部スタッフとして、会社が次のステップへと移るためにISOの認証を取得したいという意識を共有していました。ちょうどそのころに、ペリージョンソンの方とお話しする機会があり、私たちが考えていることと考え方がマッチしていたので決めました。
ISO取得の目的は会社によってさまざまだと思いますが、当社にとっては、せっかく取るからには実際やっている仕事に適した形のQMSを作りたい、これが究極的な願いでした。
というのも、他社のお話などをうかがうと、マニュアルは立派なものがあるけれども、実際には使われておらず、単なる飾りのようになっているといった話をきいていたからです。
そこで自分と事務所スタッフで判断して導入に踏み切りました。実際にスタートしたのは2001年です。当時、他のスタッフのサポートはありましたが最初は2人で始めました。
ISO取得の目的は会社によってさまざまだと思いますが、当社にとっては、せっかく取るからには実際やっている仕事に適した形のQMSを作りたい、これが究極的な願いでした。
というのも、他社のお話などをうかがうと、マニュアルは立派なものがあるけれども、実際には使われておらず、単なる飾りのようになっているといった話をきいていたからです。
そこで自分と事務所スタッフで判断して導入に踏み切りました。実際にスタートしたのは2001年です。当時、他のスタッフのサポートはありましたが最初は2人で始めました。
-- 導入当初に立てられた目標は?
最初は単純な目標でした。例えばですがクレームを10件から6件にしようといった単純なものでした。それが2〜3年たち大幅に減り、今ではゼロに等しくなっています。これはクレームだけではなくて不適合製品についても同様です。不適合製品やクレームが多いと、対応するために余分な仕事が増えてしまいますから。
-- ISO9001の認証を取得されて何が変わりましたか?
ここまで変わると思わなかったのが社員の意識です。例えば、作業日報などは、社内の活性化につながっています。普通ならただの余計な仕事が増えたと感じてしまうかもしれないけれど、社員も面白がって取り組んでくれ、上手くいきました。導入当初は流れも変わって戸惑ってしまいましたが、慣れてくると、会社をよくしようという意識が出てきました。どうせ仕事をやるなら楽しくやりたいと思っているので、そういうムードを作るようにしました。
また、ISO導入前は、業務の担当者にどの程度の負担がかかっているかわかりませんでした。しかしISO取得の際に、例えばこの担当者が休んだらどうするとか、工程の流れに関する見直しを行ない、社員の教育・訓練の必要性について改めて意識させられました。ISOというきっかけがなかったら、毎日の仕事をただこなしていくだけで忙しく、ここまで気がつかなかったと思います。
また、ISO導入前は、業務の担当者にどの程度の負担がかかっているかわかりませんでした。しかしISO取得の際に、例えばこの担当者が休んだらどうするとか、工程の流れに関する見直しを行ない、社員の教育・訓練の必要性について改めて意識させられました。ISOというきっかけがなかったら、毎日の仕事をただこなしていくだけで忙しく、ここまで気がつかなかったと思います。
-- 審査を受けての感想をお聞かせください。
一番印象に残っているのは内部監査に関する考え方です。
最初、内部監査はチェックリストを作って形式的に行なっていました。初めはそれでもよかったんですが、マンネリ化しやすく、かといってそれを変えるほどのアイデアもありませんでした。そこを悩んでいたんです。
審査の際に審査員の方からそこを指摘されました。チェックリストもいいんですけれど、普段やっていること、会議、5S、安全パトロール、朝のミーティングなど、それらをきちんと記録すれば、内部監査になるということに気がつきました。そうなると、社員含めて毎日内部監査を行なっているような考えになり、日々、よくしていこう、改善していこうという雰囲気になってきました。
チェックリストは確かにチェックするという意味では役にたっていたんですが、改善するというところまではいかなかったんです。
最初、内部監査はチェックリストを作って形式的に行なっていました。初めはそれでもよかったんですが、マンネリ化しやすく、かといってそれを変えるほどのアイデアもありませんでした。そこを悩んでいたんです。
審査の際に審査員の方からそこを指摘されました。チェックリストもいいんですけれど、普段やっていること、会議、5S、安全パトロール、朝のミーティングなど、それらをきちんと記録すれば、内部監査になるということに気がつきました。そうなると、社員含めて毎日内部監査を行なっているような考えになり、日々、よくしていこう、改善していこうという雰囲気になってきました。
チェックリストは確かにチェックするという意味では役にたっていたんですが、改善するというところまではいかなかったんです。
-- PJRの審査員についての感想は?
いろいろな審査員が来て違った側面からみてもらえるのが審査のよいところだと思います。製造プロセスが得意な人、安全関係が得意な人、さまざまな側面から見てもらえるのがいいと思います。
審査では他にもいろいろ指摘をしてもらいましたが、それがすごく助かりました。どの指摘も実際、「そうですよね」というものでした。自分たちだけで見ているとどうしても死角ができてしまうので、客観的に見てもらうということがすごく大事ですね。前回の更新審査は今までで一番ハードでしたがすごく勉強になりました。問題点を深く追求していく、いわゆる「なぜなぜ分析」が求められ、それを行なうことによって業務が改善されていきました。

-- 現在、ISO 14001(EMS)の認証取得を目指しているとのことですが、ISO9001の更新審査を終えられて、会社として次の段階に入ったということでしょうか?取得を目指したきっかけについて教えてください。

QMSが社内に根づくまでにかかったのは大体3年くらいです。もちろんどのくらい深く根づいているかによりますが、ただマニュアルなどは実際の仕事に反映されていたので、その点では早かったと思います。

【取材を終えて】
ボーラ代表取締役との取材で最も印象的だったのは、ISOの認証取得を経営に役立たせていこうという姿勢だ。ISO9001の認証取得を目指した際に、「実際やっている仕事に適した形のQMSを作りたい」と考え、審査時の不適合についても、自分たちの会社をよくするための提案と受け止めておられ、「会社を良くしていくために、もっと指摘して欲しい」と、その熱心さには頭が下がるばかりだ。