【連載】食品安全のためのFSSC 22000活用術
第1回:なぜマネジメントが必要なのか



再びみなさまにお会いする機会をいただくこととなりました。ペリージョンソン ホールディング 株式会社 ペリージョンソン レジストラー 審査員の伊藤毅です。
前回までのシリーズでは、FSSC 22000の審査のポイントについてお話しましたが、今回から始まる新シリーズでは、FSSC審査員としてさまざまな食品工場にお伺いした経験をもとに、安全な食品をつくり続けるために工場でどのようなマネジメントが必要なのかをお伝えします。

先日、審査で訪問したある食品工場では隣接して2つの工場がありました。両工場では日々改善のための活動を行っていましたが、工場によって衛生ルールの徹底状況やお客さまからのクレーム数に差がありました。全体を統括する管理者の方は、工場間で作業員の配置変換を行うなどお互いのいいところを吸収できるように試行錯誤するものの、なかなかうまくいかないと悩まれていました。そこで両工場の取組みを細かく比較してみると、担当者の教育、製造日報などの記録様式やリーダーによる作業や清掃状況の監督状況などに違いがあることがわかりました。
このように工場によって衛生ルールの徹底状況やクレーム数に差が顕在化しているような場合、工場固有の管理方法、ひいては評価・改善・計画・調整・指揮なども含めたマネジメントの違いに原因があるかもしれません。
先の工場は、現場でも取組みの違いは認識していたものの、人員とラインの構成や配置なども異なることから、予算的にも現場だけで取り組むことが難しかったのです。結局この食品工場では、会社全体の取組みとして、工場の管理方法を決めていくことにしました。

どの工場にも個性があります。そのため教育や監督、文書の整備状態などの管理方法に差が出るのも当然のことです。しかし、それが原因で事故が発生することは絶対に防がなくてはなりません。そこで必要なのがマネジメントです。工場ごとの個性を生かしつつ、レベルアップする。そのためにそれぞれの工場の管理状況を管理しつづける。それこそマネジメントのあるべき姿です。

一言でマネジメントといっても、さまざまな側面があります。次回以降、FSSC 22000の要求事項を参考に、食品安全マネジメントシステムを活用し、工場の個性に沿った効果的なマネジメントを行うためのポイントについてお話しします。ご期待ください。

PJR 審査員 伊藤 毅(いとう たけし):静岡県出身、農学修士。PJR審査員。
前職は食品メーカーに勤務し、食品製造、品質保証、技術開発部門を担当する。ISO 22000の認証取得に携わり、その後は食品安全チームリーダーとして、食品安全マネジメントシステムの実務も経験。PJRでは食品規格の審査、および審査プログラムを担当する。
より充実した食生活を満喫するため、今年はチーズ検定に挑戦予定。