【連載】FSSC 22000審査のポイント
第4回:FSSC 22000 〜食品安全チームに求められる要素〜



前回までは、FSSC 22000における設備の前提条件プログラムの構築や適用除外についての解説をしました。「前提条件プログラムの構築はどこまでやらなければいけないのか?」という問いに対しては、食品安全のハザード分析を行うことにより、「製品の安全性を脅かすことのないレベルまでコントロールできること」が必要だというのが私たちの回答です。
すでにお気づきかもしれませんが、「製品の安全性を脅かすことのないレベルまでコントロールできること」とは、HACCPの考え方にほかなりません。
FSSC 22000は、前述の前提条件プログラムについて規定しているISO/TS22002-1(容器包装についてはISO/TS22002-4)とISO 22000、そしてFSSC 22000固有の追加要求事項から成り立っています。このうちHACCPと対照関係にある規格要求事項は、主にISO22000の7節「安全な製品の計画及び実現」が該当します。ということは、この7節を確認していくことにより、おのずとHACCPの考え方がよりクリアになるでしょう。今回からはISO 22000の7節がどのようなものなのか、私の体験談も交えつつ、数回にわけて解説していきたいと思います。

さて、7節はHACCPの内容を含んでいると述べましたが、規格の7.1一般には「組織は、安全な製品の実現に必要なプロセスを計画し、かつ、構築すること」とあります。これを実施していく人たちが食品安全チームです。
では食品安全チームは、どのような人たちで構成されるのでしょうか。規格の7.3.2項を参照してみましょう。ここには「食品マネジメントシステムを構築し、かつ実施する上で、多方面の知識と経験を合わせもつこと」と記載されています。食品工場には製造部門だけではなく、原料や資材の調達部門やボイラーや給水管理をする設備部門、保管や配送を受け持つ物流部門など、さまざまな役割を担う部門があり、それぞれが関わりあって製品を作り上げています。
そのため安全な食品を提供するための食品安全マネジメントシステムの構築には、それぞれの部門の業務に精通したメンバーの参画が必要不可欠です。もしある部門からの参画がなかった場合、その部門が受け持つプロセスがシステムから抜け落ちてしまう可能性もあるからです。

ここで、私自身が食品工場に勤務していたときの失敗例を共有しましょう。当時、私は食品安全チームに所属していましたが、ISO 22000の初回認証審査が終了した直後、総務課長から「作業標準を見直したい」と相談を受けました。ISOで構築した作業標準と、実際の業務の手順・内容にズレが生じていたのです。
このような事態が起こった原因には、間接部門である総務課のメンバーが食品安全チームに参加していなかったこと。さらに同課に対するフォローが十分ではなく、準備すべき書類の作成依頼や決定済みの作業標準を渡すだけになっていたことが挙げられました。また、システム構築の際のコミュニケーション不足も問題であったと思います。このため、食品安全チームと総務課との間に、システムへの取り組みや理解度について温度差が出てしまったのです。
前述した通り、食品工場においては「安全な製品の計画及び実現」にむけて、製造部門だけでなく多くの部門が関わっています。そのため、食品安全チームのメンバーをどのように構成するかが、非常に重要になります。また、食品安全チームの内外でコミュニケーションを密に図り、さまざまな声を積極的に取り入れていくことも、大きなポイントになるでしょう。

次回はISO 22000の「7.3 ハザード分析を可能にするための準備段階」の節について、解説したいと思います。

PJR 審査員 伊藤 毅(いとう たけし):静岡県出身、農学修士。
前職は食品メーカーに勤務し、食品製造、品質保証、技術開発部門を担当する。ISO 22000の認証取得に携わり、その後は食品安全チームリーダーとして、食品安全マネジメントシステムの実務も経験。PJRでは食品規格の審査、および審査プログラムを担当する。 ワインをこよなく愛し、ワインエキスパートの試験に向けてコルクを抜く日々。