プロセスアプローチ手法による内部監査のすすめ



お客様を審査させていただいていると、内部監査がマンネリ化しているのではないか、どのように内部監査のレベルを高めてゆけばよいか悩んでおられるのではないかと感じることがあります。

実際の審査では、「内部監査チェックリスト」を確認していますが、そのチェック事項が品質マニュアルや手順書の内容そのままであったり、過去の内部監査の質問事項を繰り返し使用し続けているケースを多く見かけます。そのようなケースでは、毎回「指摘なし」であったり、あるいは記録が一部作成されてない、文書が承認されていない、整理整頓ができていない、といった表面的な指摘にとどまっていることが多いようです。認証取得から間もないシステムの状況では、品質マニュアルや手順書に即した内部監査も、システムの基本的事項としての「ルール」と活動との整合性をチェックすることが有効であったり、あるいは内部監査員としての経験や知識向上のためのよい機会となっていたと思われます。しかし、ある程度定着したら、実際の業務の流れ(プロセス)に即した審査、つまり「プロセスアプローチ型」の内部監査を意識することが必要になります。

活動の適切性をチェックできているか

「プロセスアプローチ」とは、業務の流れに即して行う審査や内部監査の手法です。では なぜ、プロセスアプローチの考え方が、内部監査の手法として重要なのでしょう。組織の活動は、立体的かつ有機的に結びついて運営されています。したがって、「ルール」という平面から眺めただけでは、組織の活動を適切に観察することは難しいものです。それに、実際の業務は、すべてがマニュアルや手順にルールとして文書化されているわけではありません。法令に関する遵守事項がすべて文書化されているわけではないですし、例えば顧客からの問い合わせにどう対応するかなど、実際の活動において守るべき事項は、文書化されたルール以上に多く存在します。それらの活動の適切性は、実際の業務の流れに即して見ていかなければ、判断することができません。

例えば製造業なら受注、設計、購買から製造やサービスの提供、クレームの発生から処理、マネジメントレビューから改善活動といったフローを「プロセス」の一連の流れとして捉え、その各プロセスごとに、経営資源、文書、記録、場合によってはリスクなど、さまざまな要因から「アプローチ」して、要因を起点として適合性をチェックする、というのも「プロセスアプローチ型監査」の一例です。

業務の流れとルールを知る

こうしてみてくると、「プロセスアプローチ型監査」を行うには、まず「業務の内容、相関関係や流れ」を知ること、そして規格や手順書、マニュアルに加え、法令のように社内文書化されていないルールも含めた「基準」についての知識を持つことが重要であるといえます。あるいは、「プロセスアプローチ」を実践することで、プロセス間の相互関係をこれまでとは違う視点で見つめることができたり、個々の要員が、自身の業務やその前後のフローをどの程度理解しているのか、その習熟度はどう判断すればよいか、といった日々の観察にもつながることでしょう。

ところで、PJRでは、プロセスアプローチ手法に基づく審査を徹底しており、審査現場でも「プロセスアプローチ手法に基づく審査を実施します」とお話しして審査を開始するようにしています。審査を受けることが、実は「プロセスアプローチ」を体感する場でもあります。報告書や指摘事項からだけではなく、このような視点でも、PJRの審査を役立ててみてください。また、弊社の内部監査員養成セミナーでは、さまざまな演習を通じてプロセスアプローチに基づく監査手法を習得することができます。内部監査のマンネリ化や有効性についてお悩みの組織には、ぜひ ご活用いただきたいと思います。

PJR 審査員 伊藤 隆章(いとう・たかあき)
金融機関勤務を経て、2000年より、ペリージョンソン レジストラーにて審査業務に従事。自動車、鉄道関連をはじめとする製造業への審査は1,000件以上。セミナー研修の企画・開発に携わるとともに、自ら講師も務める。趣味は空手(県大会での優勝多数)と写真(愛機はニコン)。

※本コラムは、PJRニュースレター「WORLD STANDARDS Review」に掲載されたものの再掲です。